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順応過ぎる人間の身体

以前のブログで、何倍、何十倍もの音の大きさの差を、人間はその環境に合わせて、相対的に感じ取ることを書かせて頂きました。実は、視覚においても同じように、人は環境に合わせて見ることができます。

ある材料を、同じ明るさに見えるようにシャッタースピードを変えて撮影しました。右側は屋外(弊社駐車場)、左側は室内(弊社倉庫)です。

どのくらいの光量の差があるのかというと、約160倍です。

カメラで撮影したところ、右側は1/4000秒、左側は0.4(1/2.5)秒です。(カメラに詳しい方向けの補足ですがISO、F値は変更していません)

場所の移動には20秒もかかっていません。何も意識しなくても、人間は暗い場所で同じような明るさで見ることができます。つまり、短時間で人間は1600倍もの光の変化に対応してしまうということなのです。人は、音も同じように対応しています。

つまり、大きな差のある音や光の環境変化で、人間は基準値を変化させることで聞きやすく、見やすく対応しているのです(表現として正しいのかは分かりませんが)。先ほどの実験も、1600倍になるとは私自身も驚きでした。カメラというのは、レンズに入る光の量(絞値)、シャッタースピード、光を受けるセンサーの感度(ISO)で画像を記録します。これらのすべてを上手く操り、綺麗で見やすい画像にするのがプロカメラマンです。

音の場合、静かな図書館で小声で話してもよく聞こえますが、工事現場では大きな声で話さないと聞こえません。光で例えると、明るい場所でスマートフォンの画面は見えにくいのですが、映画館や室内では明るく見やすいのと同じ効果になります。これらの差が10倍程度なら、普通の数値として表記しても分かりやすいかもしれませんが、対数という表現(デシベル)を使って初めて分かりやすい値になります。考えると、対数も桁数を小さくまとめる表現になりますので、人間向きに順応させた表現なのかもしれませんね。

 

追記

同じ場所で、同じ光の量を当てた時に光の量を調整しました。

右側が1/100秒、左側が1/4000秒です。この差で40倍です。1/4000秒の方は殆ど確認することができません。

生憎、0.4(1/2.5)秒の撮影はしていませんが、更に40倍明るくなるので、真っ白な画面になるのでしょう。

 

投稿:大隅 豊

 

 

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