吸音材とは?吸音の仕組みや吸音材の種類、選び方までを解説!

吸音材

空気中に伝わる音のエネルギー(空気伝播音”くうきでんぱおん”)を反射せずに吸収し(熱エネルギーに変換)、反射音(反響音)を抑制する働きのあるものを指します。反射音は、騒音が放出されている間は重なりながら大きな騒音へとなります。防音対策として、吸音材は必ず設置しなければならない物です。

  

 

効果の高い吸音材

吸音材の効果が高い材料を選ぶには、吸音率のデータを見ることは必須となります。グラフの数値が高いものが吸音率が高く、音を反射することが少なくなり、吸音効果を発揮します。吸音率データには、垂直入射法吸音率と、残響室法吸音率の2種類が存在します。同じ測定方法のデータで比べることが条件となります。

吸音材がないと、どうなるのか?

防音ということは、音を出さない、音の進行を妨げることになりますので、端的に音を遮る遮音材さえ用いれば解決できると解釈しがちですが、遮音材は音を通さず反射しますので、音のエネルギーは減衰しにくくなり、密室の場合はエコーが掛かったような感じになります。これを反響音と言います。

騒音の反響音は重なり合うために、空間内の音のエネルギーは増大します。やがては遮音材を透過したり、開口部からメガフォンのような効果で大きく放出される現象が起きてしまいます。

音を反射する事が目的でないのであれば、必ず吸音材を設けてエネルギーを減らし、音を遮断する方法が有効な方法になります。

 

吸音の仕組み(多孔質タイプ)

吸音材は、殆どが多孔質な構造をしています。多孔質(たこうしつ)とは、小さな穴(孔:小さな穴を示します)が非常に多く空いている構造を持つものを示します。その小さな穴に音が入り込み、拡散し、周壁との摩擦や粘性抵抗および材料小繊維の振動等し、熱エネルギーに変換され、音源に対して反射する率が減ることを吸音と呼びます。基本的に、高音域は非常に薄めの吸音材でも吸音効果を示しますが、波長の長い低音域は吸音材に厚みを持たせないと吸音効果が出にくい傾向を示します。

代表的な吸音材の種類

吸音材として次の2種類の吸音材が多孔質型吸音材と共鳴器型吸音材が一般的に使用されています。(板(膜)振動型吸音材はあまり普及していません)

多孔質型吸音材

ウレタンスポンジのような、小さな穴(孔)で生成された吸音材を指します。吸音材の中では、最も多い種類のタイプです。ウレタンスポンジ、グラスウール、フェルト等が挙げられます。非常に使い勝手がよく比較的安価なものが多いのが特徴です。

共鳴器型吸音材

空洞に孔があいた形の共鳴器に音が当ることで、穴(孔)の中の空気が激しく振動し、周辺との摩擦熱としてエネルギーが消費される。防音防振ネット!ではポアルC-1や、吸音膜天井シェディスクリーン、パンチングメタルがこのタイプに相当します。剛壁との間に空気層を有することで、対応できる周波数も変化しますが、間に多孔質型吸音材を設置することでパフォーマンスの良い吸音効果を有することが可能となります。

吸音材の材質の種類

吸音材は、大半がプラスチックの原料を用いたものが多く、それらを間違って使用すると、状況によっては性能が低下したり、劣化して破損につながることも充分にあります。よって、吸音材の材料の性能だけでなく、材質(原料)も把握して使用することが、より良い選択となります。

繊維系吸音材

グラスウール、ロックウール、ポリエステル系の板状の塊を使用します。グラウウルにおいては、最もコストパフォーマンスの良い吸音材と言えます。サイズも大きく取ることができ、入手しやすい材料です。吸音材としては、殆どがグラスウールを使用しています。極稀な場合に、グラスウールの代替としてポリエステル系のものを使用する場合があります。防音防振ネット!では[吸音ホワイトウール]を取り扱っております。それぞれの長所短所を別々で紹介します。

グラウウールの長所

吸音材として、コストパフォーマンスに最も優れています。
入手しやすい(ホームセンターで購入可能)
サイズが豊富。
変形させやすい。
不燃材である。

グラスウールの短所

環境に害がある(密閉して使用すれば問題は有りませんが、吸音材は材料自体をむき出しで使用する事で効果を発揮します)。
施工に危険性がある(包装されたものを使用するか、施工業者へ依頼することをおすすめします)。
多湿の環境下では吸音性能が低下する(湿気が入らないように密閉すれば問題有りません)。
グラスウール単体での自立や貼り付けができない(壁や床、天井に設置する施工となります)。

吸音ホワイトウールの長所

人体に優しい
変形させやすい

吸音ホワイトウールの短所

グラスウールと比べると割高感がある。
形状が不安定。
多湿の場所での使用は、性能が低下する恐れがある。

軟質ウレタン吸音材

吸音材としては、最もポピュラーな材料です。カームフレックスは、自動車、建機、設備など、産業資材においてコストパフォーマンスに優れ、加工、2次加工もしやすいのが特徴です。また、難燃仕様も標準で備えており、使用環境に対応しやすい吸音材と言えます。取扱業者も非常に多いことから、グラスウールの次に入手しやすい材料と言えます。

軟質ウレタン吸音材の長所

取り扱いの際、環境に悪影響が少ない。
非常に大きなサイズで生産していることから、状況に対応しやすい。
加工性に優れている。
取扱業者が非常に多いために、入手しやすい。
数社で様々なメーカーで生産している。
実績が多い。
非常に軽量である。

軟質ウレタン吸音材の短所

高温多湿の環境下では、加水分解の恐れがある。
多湿の環境下では、性能が低下する恐れがある。
耐候性が低い。

架橋 ポリエチレンフォーム吸音材

軟質ウレタン吸音材の代替素材として使用されることが多く、プラスチック系吸音材では、合成ゴムスポンジ吸音材と比べ吸音材だけの仕様で扱われることが少なく、他の機能と合わせて使用されることが多いと思われます。

架橋ポリエチレンフォーム吸音材の長所

耐候性が良い
耐薬品性が良い
加工性が良い
粘着加工が可能

架橋ポリエチレンフォーム吸音材の短所

吸音性能は比較的優れていない。

メラミンフォーム吸音材

非常に軽量で、研磨剤として普及している吸音材です。
防音防振ネット!では、[吸音メラミンフォーム(白色)]と、[アコウスティセル(灰色のメラミンフォーム)]を取り扱っております。

メラミンフォーム吸音材の長所

吸音材の中で最も比重が小さい(軽量)。
難燃である。
材料が白と灰色があり、意匠を損ないにくい。
耐候性がある。

メラミンフォーム吸音材の短所

接着剤、粘着剤が付きにくい構造である。
他の発泡プラスチック系吸音材と比べ、避けやすい。

合成ゴムスポンジ系吸音材

全般的に吸音性能は優れていませんが、ゴムは物性的に優れた性能を持っていることが多く、吸音材というよりゴム自体の性能を活かし、吸音性能を付加すると言う使い方が多いと思われます。防音防振ネット!では[エプトシーラーEE-1010][ルシーラ EPDM半連泡薄物シール材粘着あり]を取り扱っております。

合成ゴムスポンジ(EPDM系)系吸音材の長所

耐候性が非常に良い
耐久性、衝撃に非常に強い
加工性が非常に良い。
粘着加工が可能。
耐熱性が高い。

合成ゴムスポンジ(EPDM系)系吸音材の短所

吸音性能は比較的優れていない。
吸音材として比重が大きい(重い)。
軟質ウレタン吸音材と比べると高価である。

複合型吸音材とミラドレン

単一素材ではなく、様々な材料を合わせて作られた吸音材[一人静科]が挙げられます。材料の特性を活かしており、様々な優位性を保有しており、不燃であり、優秀な吸音性能を持っています。また、原料の特性ではなく形状的な特殊製品として、剛性のある吸音材として[ミラドレン]があります。

 

吸音材と防音(動画)


 

吸音材の選び方(動画)


 

吸音材の選び方 #2 材料編(動画)


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