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吸音材の不思議 〜厚みと構造が生み出す音の変化〜

吸音材の不思議とは何か

吸音材は、見た目が似ていても「厚み」や「構造」の違いによって、吸音性能が大きく変化する材料です。防音対策というと、材料の種類に目が向きがちですが、実はどのような厚みで、どのような組み合わせで使うかが、音の吸収効果を左右します。本記事では、吸音材の基本的な特性と、複合構造による性能向上の仕組みについて解説します。


吸音材の厚みと吸音性能の関係

厚みが増すほど吸音性能が向上する理由

吸音材は、一般的に厚みが増すほど吸音性能が高くなります。たとえば、厚み10ミリの吸音材と20ミリの吸音材を比較すると、20ミリの方が優れた吸音効果を示します。これは材料量の違いだけではなく、吸音できる音の周波数帯域が広がることが主な理由です。

低音域と厚みの深い関係

音の周波数が低くなるほど、音のエネルギーは大きくなります。そのため、薄い吸音材では低音域の吸音率が低くなりがちです。一方で、厚みのある吸音材は、内部で音が減衰する距離が長くなり、低音域の音も吸収しやすくなります。この特性から、低音対策にはある程度の厚みを確保することが重要とされています。


単一吸音材に見られる吸音特性の特徴

特定周波数で吸音率が下がる現象

一般的な単一素材の吸音材では、特定の周波数帯で一度吸音率が下がる現象が見られることがあります。これは、材料の共振や内部構造の影響によるものです。しかし、全体として評価すると、厚みのある吸音材は幅広い周波数に対応しやすく、総合的な吸音性能は高くなる傾向にあります。


複合構造による吸音・遮音性能の向上

吸音材と遮音材を組み合わせる効果

ここまでの説明は、あくまで単一の吸音材を使用した場合の話です。実際の防音対策では、複数の吸音材を組み合わせたり、その間に遮音材を挟んだりすることで、性能は大きく変わります。吸音材の間に遮音材を配置すると、遮音材単体以上の音響透過損失が得られるケースもあり、吸音性能そのものが向上することもあります。

滑らかな吸音特性を実現する構成

複数の吸音材を組み合わせた構成では、特定の周波数で性能が落ち込む現象が緩和され、吸音特性がより滑らかになります。これにより、広い周波数帯に対して安定した吸音効果が期待できます。


ハニカム構造吸音材の可能性

ハニカム構造を持つ吸音材も、単体で使用するより複合構造にすることで、吸音性能や音の透過防止性能が大きく改善するケースがあります。理論的な解析を行えば理由は説明できるかもしれませんが、吸音材や防音材の分野では、工事費や材料費の制約から大規模な研究開発が行われにくいのが実情です。


コストを抑えた性能向上の工夫

比較的安価に性能を高める方法としては、吸音材の内部に遮音材を組み込む、または吸音材の表面に別の吸音性能を持つシートを重ねるといった工夫があります。これらの方法でも、条件次第では十分な性能向上が期待できます。


防音対策は総合的な判断が重要

防音対策は、材料そのものの良し悪しだけで判断すべきではありません。使用環境に適さない材料を選んでしまうと、劣化や破損、性能低下を招く可能性があります。吸音材・遮音材の特性、設置環境、コストを総合的に考慮したうえで、最適な構成を検討することが重要です。

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